筋膜はスペース

「筋膜とは、筋肉を包む膜である。」

というのは、ざーっくりした筋膜についての説明で・・・実際からだに触れて膜のネットワークを感じているときは、膜という感覚はなくて、どちらかというと「スペース」という言葉がしっくりきます。

そもそも筋膜という言葉には翻訳上のちょっとした混乱があって、私たちが見ている膜(fascia)は筋肉を包む膜だけではありません。(筋肉を包む膜はmyo-fascia(myo=筋の、fascia=筋膜)、厳密にいえば筋筋膜)。Fasciaとは膜/帯状の結合組織の総称で、それには

骨を包む骨膜
胸腔内の胸膜
腹腔内の腹膜
個々の臓器を包む漿膜
脳、脊髄を包む軟膜・クモ膜・硬膜

などがあり、
さらにいうと「筋肉を包む膜」にも

皮膚のすぐ下でからだ全体をボディースーツのように包む浅筋膜
その下で個々の筋肉を包む深筋膜

があって、
さらに深筋膜は

筋腹を包む筋外膜
筋束を包む筋周膜
筋線維を包む筋内膜

と、奥へ奥へとつながっています。もっといったら血管や神経も膜。

 

「結合組織」という名の通り、骨・筋・臓器・血管・神経・リンパなど、からだの中のあらゆるコンポーネントをつなげているのが筋膜。逆に言ったら、名前のついた器官以外の場所ぜんぶ、ということになるでしょうか。

 

orange

よく筋膜の説明で使われるオレンジの絵。

この絵で言うと、表皮(オレンジの皮)の下の白い層~中心につながる膜(房を区切る部分)~写真ではよく見えないけど、一つ一つのさのうまでが一続きのネットワークになっていて、この膜がすべてつながり均等な張力になっているかを見ています。

膜のネットワークが「生きて」いるとき、その中身の骨・筋・内臓・その他は自由に動くことができる。物と物との間にちょうどいい空間があって、それぞれが自由に動くことができて、どこかが動けばその他すべてもスペースを保ちながらバランスをとって動く。

だからロルフィングでの筋膜とは、私にとってはスペースであり、関係性であり、それらをすべて含む全体、というわけです。

ただ単に膜をリリースして癒着をはがしました、ではなくて、それによってからだの中に関係性が戻ってくることが大切なんです。

例えていうなら、絡み合っていた、切れていたケーブルをつなぎなおして出来上がり、ではなくて、そこにちゃんと信号が流れて、正常なコミュニケーションが成立できるかまでを見届ける。

 

– – – –

 

余談ですが、こういうからだの感覚(自分の中のスペース感覚)が無意識のレベルででもあると、自分の外側のスペースにも気が付くのが上手になる、と思っています。

たとえば電車で、一歩ずれれば空いているスペースがあるのに、人がぶつかり合っているようなとき。この空間の不均衡を居心地が悪いと感じるかどうか。自力で一歩動いて居心地の悪さから抜け出すという選択肢に気づき、それを選択する力を持ち、実行する力を持っているかどうか・・・

電車の中のスペース分布をみてみるとなかなか面白いです。ちなみに満員電車では、人のいる空間を見ていると苦しいけど、頭上の広がった空間の方に意識を向けてみると楽ですよ。

 

 

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