「自然な動き」のことを少し。
「自然」と聞くと、滑らかさ、優雅さ、自由さ、楽さ、などが連想されて、だいたいの人は不自然よりは自然がいいよね、と思っていると思うのですが・・・
でも何が自然さを生み出すのか、ってあまり知られていないようだし、自然ってつまりはどういうこと?って、あまり語られていない気がします。
自然=環境・状況に適している、って置き換えてみてください。
ピンとくる?こない?
例えば、立っていたら足の下に地面があります。そんなのあたりまえ・・・ですが、世の中「足の下に地面がないように立っている人」がたくさんいます。
それは、「地面がある」という現実が、からだにうまく反映されていない、ということ。
もう少し詳しく言うと、地面との関係性の中で起こる感覚情報を、十分に受け取られていないために、必要以上に頑張って姿勢を維持しなくてはならない、ということが起きています。
そもそも動きと感覚は決して切り放すことはできません。
感覚の入力があって、それに対する反応として動きが出力される、という仕組みなので、「動くことは感じること」といってもいい。
自分がどんな地面の上に立っているのか。
硬いのか、柔らかいのか、なめらかなのか、でこぼこなのか、暖かいのか、冷たいのか、止まっているのか、動いているのか・・・。感じられることは数えきれないほどあります。
その外界の情報を、感覚を通じてどれだけ正確に取り入れることができるのか、が1つ目の鍵。
そして、受け取った情報に基づいて、どれだけ柔軟に動きを調節できるか(適応力)が、2つ目の鍵。
動きがぎくしゃくする、不自然だ、と感じるときは、この感覚と動きのフィードバックシステムがうまく働いていません。
自分の周りにどれだけの空間があるのか
その空間に何があるのか
明るいのか暗いのか
どんな音がするのか
どんな地面に立っているのか
どんな匂いがするのか
自分の周りの環境に対する気づきと、その環境に自分はどう反応しているのかという気づきが、豊かであればあるほど、からだも心も自然体に近づいていくわけです。
空気とか地面とか、当たり前すぎて考えもしないことが、実はものすごい大事なんだよ、ということ。
それがからだで腑に落ちると、どんどんからだも世界も変わっていきます。