思考で思考は止まらない

いかなる問題も、それが発生したのと同じ次元で解決することはできない
-アルバート・アインシュタイン

 

いつも考えてばかりで、思考が止められない、っていうお悩みをよく聞きます。

考えるのをやめよう、と思っても、次から次に思考が浮かんできてしまう、とか、瞑想をしても考え事ばかりしてしまう、とか。

考えること自体は悪いことではないけれど、というか人間に与えられた素晴らしい能力だけど、出口の見えない悩み事の中でぐるぐるするのはやっぱり疲れてしまいますよね。

ずーーーっと頭の中のおしゃべりが止まないのはとてもエネルギーを消耗します。人のからだが本当に休息をとるには、からだの中、頭の中にも静けさが必要。

じゃあどうしたら思考から離れられるの?というところで、先ほどのアインシュタインのお言葉です。

どんなに頭の中で「考えるのを止めよう」って思っても、思考という次元に居続けているかぎり、思考はずっと続いていく。思考で思考を止めることはできなくて、「別の次元」に意識を移す必要があります。

別の次元とは、からだの感覚。

今自分のからだがどんな状態にあるのか、「感じること」に意識をおけば、自然と思考は静まっていきます。

たとえば呼吸をただ観察する。地面についている足の裏をただ感じる。このとき、観察し続ける、感じ続ける、のがポイントです。

思考が絶え間なく流れ続けるように、感覚もまた絶え間なく変化しながら流れ続けています。一瞬をとらえるのではなく、ただただその移り変わりをぼんやり眺めておく、という感じ。(凝視すると緊張しちゃうので、あくまでなんとなく、ぼんやりと。)

最初は何を感じたらいいのかよくわからないかもしれません。まったく分からない、とか、感覚に意識を向けようとすると具合が悪くなる、という人は、からだの感覚を取り戻すのに、専門家の助けが必要かもしれません。

感覚の引き出しが増えてくると、自然と思考に注がれるエネルギーは減っていきます。というよりも、感覚ありきで思考できるようになるので、不毛なエネルギーの使い方にならない、という方が正しいかも?

そもそも生き物というのは、感覚ベースの欲求があって、それを満たすために思考を使って手段を考える、というのが本来の順序。でも今は根っこの感覚に気付くことなく、本当のニーズに気付くことなく、思考だけでいろんな問題を処理しようとするから、根本的な解決にならないし、みんな疲弊してしまう。

私も今でこそずいぶん静かな頭の中になりましたが、それでもときどきはぐるぐる思考にはまるときがあります。そんな自分に気付いたときは、「次元を変える」ってつぶやいて、感覚モードにシフト。

ちゃんと呼吸している、ちゃんと心臓が動いている、からだが温かい、あっ、大丈夫、私ちゃんと生きてる・・・

今この瞬間「生きている」ことにフォーカスが当たると、こころに波風を起こしていた憶測や妄想はいつの間にやら遠くに行ってたりします。

 

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