床の上に裸足で立っているとき、
「足が床に触っている」
と感じることもできるし、
「足が床に触られている」
と感じることもできます。
自分が「触る」というのは能動的な感覚。
対象物に「触られる」というのは受動的な感覚。
何かに触れているときは、同時に必ず「触れられている」わけですが、受け身の方向の感覚は、日常生活の中で意識されることはあまりありません。
私たちは日常の中で無意識に
「自分が、○○を、する」
という能動的なアクションを繰り返しているのですが、触れようとする方向にばかり意識が向いていると、必要以上に力を使うことになります。
感じるという行為も、
「私が、感覚を、捕まえる」
というアクションになってしまうと、感じようとすればするほど、力が入って分からなくなる、ということが起こります。
感じるのが難しい、という人や、力がなかなか抜けない、という人は、「触られている」感覚を味わう練習をしてみましょう。
この「触る」「触られる」の感覚は、メアリー・ボンドの本、『感じる力でからだが変わる-新しい姿勢のルール』で「二方向のタッチ(P233)」として紹介されています。
電車の中で立っているとき、洗い物をしているとき、
「足の裏が床に触っている」から
「足の裏が床に触られている」に切り替えてみましょう。
仕事中だったら、
キーボードを「触る」のではなく、
指先がキーボードに触られている、
と思ってみる。
ついついマウスを握りしめてしまう人は、
ときどき「マウスに触られている」ことを思い出しましょう。
受け身の方向の感覚が呼び起こされると、
必要以上の力を使って「やろう」としていたことに気が付けるはず。